「トイレができない!」は、よく聞くお困りごとのひとつです。

本来、犬にとっては、好きな時に好きな場所で排泄するのが自然な行動です。
おうちに来たその日から「トイレシートの上で排泄する」ことを習慣化するべく、「集中して教えて」あげるのが理想。
「トイレシートの上で」して欲しいのは人間の都合なので、わんちゃんにわかりやすいように丁寧&親切に教えてあげたいものです。

しかし排泄の機会を効率良くとらえてサクサク教えられるかどうかとなると、自己流では難しいのも当然です。

うまく教えられなくても飼い主さんが悪いわけでも、わんちゃんが悪いわけでもありません。
「教え方がわからない!」と思ったら、迷っていないでお早めにご相談頂くのが一番です。
失敗を重ねるとそちらが習慣となってしまい、新しい習慣を作るのに時間がかかることも…。
トイレができないばっかりに、可愛いはずのわんちゃんのことを嫌いになっては困りますからね。

トイレの成功のために大切なことは2つあります。
①環境設定
②わんちゃんに、何が正解かをきちんと伝えること

「わんちゃんができない」ことばかりに気が行きがちですが、実は環境設定がとても大切。
だから①に書きました。
まずはわんちゃんが成功できるように、お膳立てを十分にする必要があります。
そのためには、訪問型のインストラクター(トレーナー)をご自宅に呼んだ方がいいでしょう。
トイレの設置場所・広さ・形状、わんちゃんの個性・生活空間・動線、飼い主さんとの関わり方を拝見することで、失敗の原因や成功するために必要なことが見えてきます。

②については、「失敗」を伝える人は多いのですが、意外と「正解」を伝えられていなかったりします。
「正解」を伝えることこそがトイレに限らず、トレーニング全般の鍵となります。

トイレの失敗と言ってもさまざまな要因が考えられます。
知っておいて頂きたいことを下記にいくつか記載してみます。

☆失敗を怒らない。
できないのは、わんちゃんのせいではありません。
環境面のお膳立ては足りていましたか?
成功へのフォローは適切でしたか?
まずは振り返ってみましょう。

☆いつどこで排泄したかを記録してみる。
うちの子の排泄のタイミングがわかれば、トイレに誘導しやすくなるでしょう。

☆トイレシートを取り替える頻度を考える。
トイレシートが少しでも汚れていると、それを外すきれい好き(?)な子も意外と多いもの。
ネットなどで散見する「シートに少しおしっこをつけておく」という方法が裏目に出ているケースもあります。
いろいろ工夫してみて「うちの子にぴったりの方法」を見つけてあげることも早道です。

☆トイレの場所を考える。
まずはトイレシートの上にしてもらうことが優先事項。それがしっかり身につけば、場所はどうにでも動かせます。

☆いくらなんでも排泄が頻繁すぎる!と思ったら、まずは動物病院へ。
泌尿器系の病気が原因で頻尿になっている可能性もあります。

☆避妊去勢手術はしてありますか?
男の子のマーキング行動はよく知られていますが、女の子も発情期の頃になるとそのような行動をとる場合があります。
他のいろいろな面でも、わんちゃんのために避妊去勢手術はして欲しいと考えています。

☆わんちゃんの精神状態を考える。
なんらかの原因でわんちゃんが不安を感じている場合、落ち着くために排尿することもあります。
トイレができないからとイライラをぶつけたり、暗い顔をしていませんか?

☆失敗したときにどうしている?
「失敗したときには黙って片づける」というのが周知されつつありますが、黙っているつもりでも「あ~あ」とため息をもらしたり、わんちゃんを見たり、ぞうきんをひらひらさせたり、片づけるためにわんちゃんの方に近寄ったりといった思わぬ行動がわんちゃんにとってご褒美になっていることもあります。
自分はいつもどうしているか、ご家族に聞いたりするのもいいですね。

☆成功したときにどうしている?
せっかくの成功、わんちゃんが嬉しくなるような褒め方をしていますか?
私は銅メダル・銀メダル・金メダル方式でご説明しています。
目標は「フリーの状態でも自分からトイレシートに行って排泄する」ことです。
サークルに入れっぱなしの生活で「サークルの中ではできた」は、本当に身についているとは言えません。

トイレについては個体差があり、何も教えていないのに最初からできた!というわんちゃんもいれば、苦戦する子、ブリーダー放棄犬などでマーキング癖がどうしても抜けない子、もいます。
よその犬や先住犬と比べて焦ったりしないで、その子と共にトイレ問題を克服していく気持ちで取り組んで行かれることをお勧めします。

最初からすんなりできちゃったわんちゃんの飼い主さんは、宝くじに当たったくらいの幸運を感謝しましょう。

写真がないまま書き連ねてしまって、読んで頂いた方もお疲れになったことでしょう。
最後にマイのハッピースマイルをお届けします(室内ではなくドッグランですが…)。
本来、排泄は気持ちの良いもの。
室内でも気持ちよくトイレができるように、お手伝いしてあげましょう。